小生はハード系フランスパンに目がない。
やや太めのバタールではなくパリッとした皮の食感がより楽しめ、噛みしめるとジュワ~と小麦由来の香味が広がる細長いバケットが好きだ。最近はベーカリーでなくブーランジェリーと名乗っている店が増えている。パン屋さんを英語で言うかフランス語で言うかの違いのようであるが、とにかくバケットの美味しい本格的なパン屋さんが増えてきてうれしい。バケットはどこの店でも比較的安価で売られていて菓子パンや調理パンなどに比べてかさも大きい。ようするに小生にとってはコスパーフォーマンスが良いという点も重要な評価ポイントなのである。
街のパン屋さんで美味しそうなバケットを見つけると1本買って帰り夜の晩酌(特に赤ワイン)のあてにする。フランスパン用のギザギザの小刀のような小包丁で3cm程度に切り分けオーブンで軽く温める。オリーブオイル、バジルペースト、チーズ(特に青かび系)などをおもむろにテーブルに並べてバケットをちぎって塗り付けて頬張る。鼻から抜ける香ばい芳香と噛みすすんでいくうち口中に広がる自然な甘みと赤ワインの渋み、程よい酸味の絶妙なハーモニーがたまらない。この場合の赤ワインはブドウ品種や産地、ましてや価格にこだわらず赤ワインでありさえすれば従順に受け入れたい。
中華まんじゅうのしっとり、フワッとした口どけのよい皮と対極に位置するバケットの皮であるため今の立場上たいへん言いづらいが、酒のつまみになるという点では脱帽せざるを得ない。