処暑の候

処暑(しょしょ)とは、厳しい暑さの峠を越し穀物が実り始める頃、新暦では8月23日頃のことを言うそうです。本来この頃から朝夕には涼しい秋風が吹き始め、心地よい秋の虫の声が聞こえてこなければなりません。ところが依然として猛暑が続き処暑という風流な言い回しが成り立たない昨今です。

筆者の夏の終わりを感じる事象は、高校野球甲子園大会が終わった頃かなあとぼんやりと考えていたところ、見事に今年の甲子園大会決勝戦も8月23日に行われました。全国から集まった高校球児が頂点を目指して熱戦を繰り広げて徐々に爽やかに散っていき1校だけが栄光をつかむというやや残酷なストーリーが夏の終わりを告げるイメージと重なったようです。

今年は神奈川県代表の慶応高校が107年ぶりに優勝しました。慶應義塾に4年間お世話になったことがある筆者ゆえ興味を持って応援していましたが、事実上の決勝戦は、神奈川県大会決勝の横浜高校戦と甲子園での広陵高校戦ではなかったかと感じています。ただ神奈川県代表に決まる前から慶応高校野球部は全国制覇を言い放ち見事に頂点に立った有言実行力には感服しました。また、修行(苦行)のような高校野球イメージを払拭しエンジョイベースボールを標榜し笑顔で勝ち進んだ長髪集団は過去の高校野球強豪校イメージと異なる斬新な出来事であったと思います。